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チタンという金属

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以前もブログで書いたかと思うんですが、私はチタンが好きです。

ただちょっと言っておきたいのが、何でもかんでもチタンにすれば良いとか、そういうチタン崇拝者というわけではないです。←説得力無し。笑

まあチタンが好きという以前に、金属全般が好きですね。

チタンという金属は高価というイメージがあるので、どうしてもチタン製品を取り扱っているメーカは「チタンは良いです!!(良いから高いんです!)」という論調になってしまうようなのですが。

まあ実際にチタンの加工は色々面倒なのは確かで、歩留まりの悪さ等の理由から、チタン製品は高額になりがちです。

ただ、そこはやっぱり適材適所なんですよね。

チタンが向いている製品もあれば、別にチタンじゃなくたって良い物もある。

で、今回当店オリジナルの羽根式銛先の改良を行うにあたって、シャフト部分を64チタンで制作することにしたんですが、その理由の解説も含めて、今回はちょっとチタンについてのお話をしてみたいと思います。

※今回は超長くなります。笑

 

photo credit: wheeldan.de via photopin cc

 

チタンの特性について

さて、チタンの特性について語る前に
どーーーーーしても
解説しておかねばならない事があります。

それは、まずそもそもの話として

「チタン」と一口に言っても、
その種類は色々あるんだぜ

という事。

しかも、その種類によって本当に全く性質が違うので、

チタン=軽い・強い

というのは一概には言えないんですよね。

 

チタンの種類

純チタン

その名の通り、成分として99%がチタン。
おそらく一般に目にするチタンは多くがこれです。

で、気を付けないといけないのが、
この純チタンにも更にまた種類があるという事。

JISでの分類では1種~4種まであり、1種が最もチタンの純度が高く、逆に強度は4種が最も高いです。

詳しくは表を参照。

さて、金属の強度について話すのは非常に難しいんですが、大まかな目安としては、主に「引っ張り強度」が金属の強度を示す一つの指標です。

特にこの純チタン、JIS記号の番号にあたる部分が、まんま引っ張り強度を示してますので非常にわかりやすいですね。

 

さて、表を見てみましょうか。

最もやわらかい1種チタンでは、
引っ張り強度が270~410となっています。

これは他の金属と比較してどうか?というと・・・

最も一般的なステンレス、SUS304の引っ張り強度は

 

「520以上」

 

です。

 

 

・・・あれれ?

 

と思いませんでした?

 

そうなんです。

いかにチタンといえど、最もやわらかいものだと

SUS304の半分以下

の強度しかないんです。
(あくまでも引っ張り強度に限定した話ですよ)

 

これ、何が言いたいのかというと

チタンだからといって何でもかんでも有難がるのは禁物

というのと、

ステンレスを舐めちゃいけない

ということ(笑)

 

ただですね、一方で他の純チタンに目を向けてみると、最も強度の高い4種チタンが引っ張り強度550~720と、こちらはSUS304以上ということがわかります。

ということは、ご存じのとおりチタンはステンレスよりも軽い金属ですから、「比強度」としては4種チタンはSUS304よりも強いということになります。

これは余談ですが、私はこの4種チタンを好んで使います。

一般的に入手しやすいのは1種2種、それと後述する64チタンなのですが、この4種チタンというのは手には入りにくいものの、強度と加工性のバランスが良く、私は非常に好きな金属です。

特に、今現在SUSU304を採用している物を、よりアップグレードしたいと思った場合には最適かと思いますね。

一例としてジョイント金具、あれなんかは別に64チタンを使う必要が無いので、SUS304の置き換えということで4種チタンはまさに最適、という考え方ができますよね。

 

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チタン合金

世間でのイメージ、

「軽く、かつ強い」

というのがハマるのは、
まさにこのチタン合金ですね。

最もポピュラーなものはご存じ「64チタン」。

質量分率でアルミ(Al)が6%、バナジウム(V)が4%含まれている事を意味しています。JISでは60種、アメリカの規格では「ASTM B348 Gr5」。

これらチタン合金に関して言えば、先ほど出てきた純チタンとは、もはや全く別の金属といっても過言じゃないです。

引っ張り強度はおおよそですが1000前後。

単純に考えるとSUS304の倍。(色々計算が複雑なので、単純に強度が倍、ってわけじゃないんですけど)

 

で、まあこの64チタンはやっぱり強いです。
というか非常に強い。

そしてその強度が「熱処理前」ですでにこの強度なので、チタン合金が難加工材といわれるのはこのためです。(もちろん、熱伝導率が低かったりと他にも色々要因はあります)

※たとえば、チョッキ銛にも使われるSUS440Cなんかは、熱処理前はSUS304と何ら変わらない加工性なので、普通に加工が出来ます。64チタンはそういうことができないって事ですね。

 

64チタンの弱点

さて。

そんなに強い金属なんだったら、じゃあ何でもかんでも64チタンにすればいいのか?というと、当然そんなことはありません。

ここでもう一度、「強度」について考えてみる必要があります。

 

何をもって「強い」というのか?

岩を突いても大丈夫な「硬さ」か?
それとも、クエの最初の突込みでも
「折れない」「曲がらない」という強さか?

 

特に魚突きの銛先などは
非常に特殊な「強さ」が求められる部分で、

ただ硬いだけでもダメ。

場合によっては粘りのある材質の方が、
むしろ先が潰れにくかったりもする。

 

まあそれは余談として。

 

とりあえず64チタンの話をしますと、強度がありすぎる分、今度は逆に限界を超えるぐらいの力がかかった時に「折れる」、または「クラックが入る」という現象が起きやすくなってしまいます。

これは実際に私が64チタンでエラ通しを作ろうとした際の話なんですが、ブログでも書きましたけど、まぁこいつは本当に曲がらないんですよね。で、気合入れて「うおらああああああっっっ!!!」と無理やり曲げると絶対にクラックが入るという・・・

 

たとえば、バイクや自動車のマフラー。
あれなんかは64チタンは使われてません。

全部のマフラーを調べたわけではありませんが、多くは純チタンに近い成分の素材を使ってます。その理由はいわずもがな、64チタンが曲げ加工に適してないからですね。(あとは振動でクラックが入りやすい、とか)

 

私が羽根式銛先のシャフトに64チタンを採用した理由

これが本題。

ではなぜ、私は羽根式銛先のシャフトに
チタンを採用したのか?

その理由はまず、当然のことながら

「曲がりにくいから」

というのが第一に挙げられます。

先ほども言った通り、64チタンは曲げには強いです。より具体的に言うと、「ビヨーン」とは曲がるが「グニャッ」とは曲がらない、というか。

つまり永久変形するまでの限界が高いようなイメージ。

ただ、ぶっちゃけた話をすれば「とにかく曲がりづらい材質を」となった時に、正直64チタンよりも曲りに強い金属はあるでしょうね。

私も他の金属を色々検討はしてみましたが、次に挙げる点を考えた時に、そのトータルバランスで64チタン以上に優れた材質は無い、と考えました。

 

それは、「軽い」ということ。

なぜ軽さを求めたか?

それは、銛全体の重量バランスです。

これは羽根式だけでなくチョッキ銛も含めて、銛先や押し棒が金属である以上、手銛というのはどうしてもフロントヘビーになりがちですよね。

このあたりの重量バランスについては、それぞれ超こだわりがある部分だと思います。

私個人の考え方としては、手銛というのは「ほんの気持ちフロントヘビー」で、基本的には前後の重量バランスが均等の方が正確に飛ぶと考えてます。

後端金具を重たくしたりする人もいらっしゃいますが、これもまた考え方としては同じですね。

それを考えると、最も重たいパーツである銛先の重量はなるべく落としたい。

ということで、今回のアップデートでは
シャフトにチタンを採用した、というわけです。

 

ちなみにクラックや折れに対する問題をどう捉えているか?ですが、

良いところばかりを言うわけにもいかないので正直に言うと、SUS304よりかは「折れ」のリスクは大きくはなります。

これに関しては一応、今年一年フィールドテストをする中ではトラブルは起きませんでした。なのでパキパキ折れて使い物にならない、という事は少なくとも無いだろうと考えています。

折れるケースを考えるならば、一度派手に曲がったシャフトをグイッと曲げ戻した時なんかに、キーンッと折れるかもしれません。

このあたりは非常に難しいのですが、これ以上軟らかい材質を使うならば、それならSUS304とさほど変わらないよね、という面もあるんですよね。

今回のアップデートでは、ハッキリと「曲がりづらさ」を取る、という明確な目的をもって素材を選定しましたので、「絶対に折れないでほしい」という方は従来通りの材質をご指定頂ければと思います。

 

まあ今回の羽根式銛先のアップデートでは、他にも色々変更点はあるのですが、それを紹介しだすとまーたいつの間にか羽根式銛先の宣伝になってしまいますので(笑)、それはまた別の機会にでも!

 

 

 

 

 

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