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手銛(ヤス) 魚突き道具

ジャックナイフ手銛「ファルコン」のコンセプト

2015/05/23

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さて、当店が近日中に出す予定のジャックナイフオリジナル手銛「ファルコン」ですが、ようやく使用するシャフトが決定しました。表面は写真の様に平織りのクリア仕上げ。そして後ろ側のシャフトは、以前よりお伝えしていたように「ストレートシャフト」を採用しました。

スペックは以下にてご紹介しますが、このストレートシャフトはとにかく非常に硬いシャフトです。16mmラバーを巻き引きせずに使いたいという方などは、ぜひ期待してもらってOKです。

※と、言いつつ個人的にはどんなシャフトでも巻き引きはした方が良いと思う派

 

各部寸法・仕様

 

【ストレートシャフト】

・長さ:1800mm
・太さ:15mm
・厚さ:3mm

 

【テーパーシャフト】

・長さ:1800mm
・太さ:15mm~9.7mmのワンテーパ
・厚さ:2.6mm

 

金具込みでの長さで全長約3.7m、
押し棒を含めておよそ4mの手銛になります。

 

また、基本的には上記のように2本継ぎですが、
3本継の4.6m仕様、押し棒含めると5mの
長尺バージョンもラインナップに加えます。

 

 

最初にお伝えしときたいこと

 

さて、そんなファルコンは当店が初めて一から図面を引いて設計した手銛なので、もちろん私としても色んなこだわりがあるのですが、しかしだからといってイコール「高性能」であるとか「ハイスペック」であるとか、そういう事を言うつもりは無くてですね。

もちろん私も製作者として

こんなん出来たで!どや!

という気持ちは当然あれど、そこの良し悪しを判断するのはやっぱりお客さんだと思うので、私としてはあまりそういった曖昧な言葉を使いたく無いってのがあります。

 

魚突きというのは、海域によって獲れる獲物って全然違うじゃないですか。

それは獲れる魚の種類もそうですし、あとは、ある場所では楽勝で獲れる魚が、ある場所では難易度が高かったりするわけで、海域によって捕獲難易度まで違ってきます。

そしてもちろん、個人のスキル差によっても変わってきますよね。

 

要するに、そんなふうに魚突きのスタイルってのは人によって千差万別である以上、手銛についても「絶対」は有り得ないというか、単純に「高性能」というのは有り得ないと思うんです。

魚釣りでもそうですが、300kgのマグロを揚げられる竿が最強とか高性能とか、決してそういう事じゃないですよね。んなゴンボウ竿をメバル釣りに使いたいか?っていうと絶対使いたくないわけで。

 

さて、ではファルコンは「高性能」を目指してないのか?というと当然目指してます。が、ただ漠然と高性能というのではなく、出来る限り具体的に仕様とその目的を説明することで、それを読んだお客さんが「この手銛は自分のスタイルにマッチしてるかどうか?」を判断しやすくしたいという理由でこの記事を書いてます。

 

私がファルコンを作った理由を読んでもらい、その上でご自身に合うかどうか判断して欲しいんです。

これも後述しますが、ファルコンは出来る限りリーズナブルな価格を目指しはしましたが、それでも高いという方もいらっしゃるでしょうし、自作手銛で十分だぜ、という方も当然いらっしゃるでしょう。

私はそれで全然良い・・・というか、たとえば手銛製作マニュアルを読んで「こんな手銛作りましたよ!!」というメールを下さる方と、ファルコンを購入して良かったです、という方、私からしてみればどちらも同じように超嬉しいって事に変わりはありません。

 

というか、そもそも魚突きってのは「竹ヤス」が原点なわけで、ああいうシンプルな楽しさが原点にあって、その延長線上に道具の進化があるってことを私は忘れてません。

 

どんな手銛でも良いと思うんです。
色んな楽しみ方がある、ってのが魚突きの良さですから。

私はその中で「ひとつの選択肢」を提供したいだけなので、ウチの手銛が一番と言うつもりもなければ、他の手銛も、自作手銛も竹ヤスも全然良いと思ってます。

 

スミマセン、まーた前置きが長くなってしまったのですが(笑)、それが「販売者」としての私の正直な気持ちです。ただ、もちろん「製作者」としては是非ともファルコンを使って頂きたいですから、もし興味のある方は是非とも最後まで読んで頂ければ嬉しいですm(__)m

 

 

ファルコンのコンセプト

 

さて、ファルコンで目指した性能というのは結構具体的かつシンプルで、主には以下の3要素の必達を目指して作りました。

  1. 16mmラバーが巻き引き無しで引ける事
  2. しかしそんなに強いゴムでなくても
    十分な初速が出るぐらいの重量にする事
  3. それでいてリーズナブルな価格にする事

 

結局はゴムがすべて

まずそもそもの話として、冒頭でも言いましたが、ハッキリ言って普通に魚を獲るだけならゴルフシャフトを使った自作手銛でじゅうぶんなんですよ。

 

じゃあ、こういった手銛を使う理由って何なのか?

それって結局の所、

  1. 強力なゴムを使いたいから
  2. もっと長い手銛が必要だから

この2点に尽きると思うんですよね。

 

別にゴルフシャフトの手銛でも長い手銛を作れない事はありません。

ただ、長いシャフトはそれだけ「しなりやすい」ですから、シャフトの補強を相当しっかりやらないと、今主流の強力なゴムを思いっきり引けるほど強靭なシャフトを作るのはかなり難しいです。

というか16㎜ラバーを巻き引き無しで引ける4m級の手銛ということになると、ゴルフシャフトどころかスキーストックを使っても、それだけ強靭な手銛を作るのは個人レベルではもう不可能と言っていいレベルだと思います。

 

長くなればそれだけ重たくもなりますし、上で言った補強によってさらに重たくなりますから、その分の初速ダウンを補うべく、さらにまた強力なゴムを使う必要も出てきますしね。

 

つまり、手銛を飛ばす力、
そのパワーソースを100%ゴムに頼っている以上は

「結局はゴムがすべて」

と言っても過言じゃないです。

 

もちろん細かい所では重量バランスだったり、水の抵抗も考えなくてはならないため、手銛自体の太さも考える必要だってあります。

ただ、それもこれも大前提として「強力なゴム」ありき、そしてそのゴムを目いっぱい引ききれる強靭なシャフトがありきの話ですよね。だって飛ばない手銛の重量バランスなんか考えたって意味ないですから。

 

 

そのためのシャフト

 

さて、上でも言ったように、その強力なゴムを引くためには、それなりに強靭なシャフトが必要になってきます。クルマで言うと強力なエンジンを載せたらボディー剛性が必要になるように、ですね。

 

もちろん考え方としては、

強力なゴムを使う「前」に、まずは手銛を細く&軽くすることで十分な初速が出るようにしよう、という「英車」的な、言ってみればライトウェイトスポーツな考え方もあると思います。

というかそれはある面では非常に理にかなっていて、特に手銛では水の抵抗がありますから、なおさら太くて重い物を飛ばすのには大きなエネルギーが必要になるわけで、そのエネルギーロスを最小限に抑えるという考え方は正しいと思います。

 

しかし実際、手銛という用途に限って言えばこれは一長一短であり、クルマのようにカリッカリに軽量化する事が一概に良いとは言い切れない部分があります。

いや、クルマの例えを持ちだした張本人が言うのも何なんですけども(笑)、特に手銛の場合は水の抵抗があるがゆえに、あまりに軽すぎると今度は貫通力に欠けるという面があります。

 

そこで、ファルコンはこれらの良いとこ取りをして設計しました。

  • φ15のカーボンシャフトを採用
  • 太く、ではなく「厚く」
  • 重くなった分はチタン金具で軽量化

 

やはり「細くて硬い」カーボンというのはグレードが上がるため、それを使うと価格が跳ね上がってしまいます。

しかし設計次第では廉価なカーボンでも十分な強度(硬さ)が出せるというのは実証済みなので、それを使って太くもなく細くもない15mmのシャフトを採用。そしてシャフトの外径を太くするのではなく、肉厚を厚くすることで硬さを出しました。

でもって、あとはシャフトを肉厚にしたことによる重量増だけが問題・・・となった時に、ファルコンは軽量なチタン金具を採用したという訳です。

 

これはぶっちゃけた話なのですが、カーボンシャフトの製作というのは半分手作業のようなものなので、仮に量産したとしてもそこまで価格を抑えられません。

しかし金属製品は量産することでかなり価格を下げられるので、私としてもあのチタン金具は、かなり気合を入れて大量のロットで製作しました(笑)

 

100g軽いカーボンシャフトを作るよりも、
100g軽い金具を作るほうが安く上がる

というわけですね。

 

こう言うとどこか後ろ向きな設計思想だな、というか、ちょっとネガティブな感じがするかもしれませんが、私は決してそうは思いません。

 

汎用の素材(カーボン)であっても、工夫や設計次第で良い物が出来るならば、私はそれに越したことは無いと思ってます。素材の価格が安価な分、それだけお客さんへもお求めやすい価格で提供できるわけですから。

 

 

「軽量化」って必要?

価格のことを言うなら、チタンじゃなくてステンレスの金具でも良かったのでは?

そこまでして「軽量化」って必要なのか?

 

これはファルコンに限って言えば「YES」です。

 

ファルコンの設計上、肉厚のカーボンシャフトを使うのと、テーパーシャフトよりも重たいストレートシャフトを後側に使うというのは早いうちから決まってましたので、これでもし重たいステンレス金具を使うと、おそらく手銛本体重量が800gを余裕で超えていたと思います。

ただ、800gが重たすぎるか?というと決してそうではありません。

ただ、やはりこのぐらいの重さになってくるとラバーも強力な物を使わないと初速に不満が出てくるため、ラバーの選択肢が狭くなってしまうのがイヤでした。

 

あとは中間シャフトを作ることも最初から計画としてあったので、そうなると上記の800g+中間シャフトで余裕の1kg超え・・・という、かなり使い手を選ぶ手銛になってしまいます。

 

まあ色々難しいことは言いましたが、要するに「軽いものを重くするのは簡単だけど、重たいものを軽くするのは難しい」というシンプルな所が主な理由です。

 

そういう意味でも、「軽いものをあえて重くする」というか、バランスを取る目的でステンレス金具を使いたい、という方もいらっしゃると思います。

なので、今後はステンレスの金具もリリースしていきますし、もしくは、たとえば「先端金具だけステンレス金具にして欲しい」といったご要望にもお答えしていくつもりです。

 

 

後側ストレートシャフトの理由

 

さて、後側シャフトをテーパーシャフトではなく
ストレートシャフトを採用した理由ですが、
これはもう単純に「剛性」「硬さ」です。

 

数値の話をすれば、シャフトの中心にウェイトをぶら下げた時に「何ミリたわむか?」という「たわみ量」という数値がありますが、たとえば、φ15のストレートシャフトとφ15~φ10のテーパーシャフト(肉厚は同じ物として)、この2つのシャフトの「たわみ量」を比較すると、その値はおよそ倍ほども違います。

※テーパーシャフトが100mmたわむとするならば、ストレートシャフトは50mmしかたわまないということ

 

ただ、だからといってストレートシャフトがテーパーシャフトの「倍硬い」と単純に言えるか、というと決してそうではないんですが、ストレートシャフトが圧倒的に硬いのは事実です。

 

そしてもう一つ重要な点として、もしもストレートシャフトと同様のたわみ量を誇るシャフトを「テーパーシャフト」で実現しようと思ったら、カーボンのグレードを相当上げなければならず、そうすると価格が跳ね上がってしまう・・・という事です。

つまり、逆に言うと汎用グレードのカーボンでも、ストレートシャフトにしてしまえば十分すぎるぐらいの剛性は確保できる、と。

 

ストレートシャフトのデメリット

となると、あとは後ろシャフトをストレートにすることによるデメリットの検証ですが、これは主に2点あります。

・水の抵抗が増え、取り回しが悪くなる
・重量が増える

 

水中での取り回しに関しては、確かにデメリットではあるので、ここはハッキリ言ってトレードオフです。

しかしシャフト自体が15mmと細目ではあるので、個人的な使用感としてはさほど気にはなりません。が、ここはもちろん人それぞれですね。

 

長尺の手銛だと、この水の抵抗はモロに取り回しに影響してきますので、水中でのシャープな取り回しが重要だという方は、より細手で後端テーパーシャフトの手銛を使うべきです。

※ただ、これはあくまでも「横方向」に手銛を振り回した際の水の抵抗の話です。発射方向の水の抵抗に関してはそれほど影響は無いと私は考えていて、ストレートシャフトにしたからといって初速が落ちるわけでは無いと思います。

 

重さに関しては、フロントヘビーになりがちな手銛において、後ろ側の重量が増えるのはむしろバランス面で良い効果があると思ってます。

あと全体で見た時の重量増という問題に関しては、まさにそこを解決するためにチタン金具を採用しているので、後ろストレートシャフトにしたからといって致命的に重たい手銛になった・・・と言う事は少なくとも無いです。

※ちなみに前テーパー+後ストレートの2本継ぎ3.7m仕様で重量は700gを切ります

 

 

まとめ

 

さて、そんな感じでファルコンはまずシャフトの仕様を「汎用グレードのカーボンを使って可能な限り肉厚に、外径は太くもなく細くもないφ15」と決め、それによる重量増を補うという目的でチタン金具を採用しました。

 

もっと軽い手銛が良いという方、
もしくはもっと重い手銛が好みな方、

もっと太い手銛じゃなきゃ、という方もいれば、
ちょっと太すぎるな、という方もいると思います。

 

ファルコンはそういう意味では決して「尖った」モデルではなく、ある意味オーソドックスな手銛です。

冒頭でも申し上げたように、魚突きというのは色んなスタイルがあって、だからこそ面白い。

ファルコンも、それぞれのスタイルに合わせてカスタマイズする、そんな「素材」として捉えて頂ければ、製作者としては嬉しい限りです。

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