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手銛の飛びに大きく影響する「浮力」の話と、極太手銛の可能性

 

手銛の太さ

手銛づくりには色んな考え方があります。

初速重視で、とにかく発射時のスピードを求める方は、軽くて細い手銛を好まれるでしょうし、スピードはそんなに要らないけど、出来るだけ「伸び」が良い手銛、飛距離がある手銛を求める方もいます。

軽くては貫通力に欠けるから嫌という方もいれば、いやいやある程度の初速がないと、そもそも魚に当たらないからやっぱりスピードは必要だという方も。

 

そのへんはもちろん、それぞれの好みやスタイルなんですけどね。

まあ最近の流れとしては、前者の細手の手銛を求める方が多い、という印象でしょうか。

 

それで今回お伝えする内容としては、そんな時代の流れにはちょっと逆行するようなんですが、極細手銛ならぬ

極太手銛

の可能性を探ってみたいなと思います。

 

実際私も下で紹介しているような仮説を立てて、自分用で手銛も何本か組んで実験してるんですが、

いやー太い手銛・・・思ったより面白い!です。

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ちなみに試作機のスペックとしては

  • シャフト最大外径:18mm
  • ジョイント金具外径:20mm
  • 両テーパシャフト(ストレート部1000mm+テーパ部800mmの2段階テーパ)
  • 3本継(1850+500+1850)
  • 全長:約4.2m
  • 手銛本体重量:約1kg

 

金具類は完全自分仕様で、先端金具はチョッキ用の穴は無し、後端金具は川蝉用を流用。

ジョイント、先端後端すべて64チタンなんですが、正直これは失敗したというか(;´∀`)

詳しくは後述してますが、チタン金具を使うことで「軽くなりすぎた」という、なんとまあこんだけゴッツい手銛が「軽すぎて浮く」というのは完全に想定外でしたね。※なので後から中間シャフトを製作して重量バランスを取りましたw

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手銛の飛びに大きく影響する「浮力」の話

さて、これが今回のメインテーマと言っても過言ではないんですが、手銛を作るにあたって、そして手銛の飛びを考えるにあたっては決して外すことの出来ない、超重要な要素があります。

それは何かというと「浮力」です。

 

よく飛ぶ手銛を作ろうと思った時、まず最初に

  • より軽く
  • より細く

この2点を改善しようと思いますよね。

 

もちろんこれは間違ってはいないと思います。

たとえば、カーボンソリッドなんかで細手の手銛を作ると、細くて水の抵抗が少ないので確かに初速は速いです。

が、同時に失速も早かったりします(もちろん一概には言えませんが)。

 

それは何故かと言うと、水中で手銛が「沈む」からなんですよね。

沈む方向に力がかかる(手銛が引っ張られる)ので、そのぶん水の抵抗が「手銛の下面」にもかかってきてしまい、そうなるとゴムの発射エネルギーが失われた瞬間一気に失速する。

 

要するに、水中でモノ(物体)を発射するにあたっては、単純に手銛の太さ=前面投影面積だけでは水の抵抗は計算出来ないって事です。

 

で、そこに大きく関わってくるのが浮力ってこと。

 

ちょっと文章だと分かりづらいんで、ためしにちょっと鉛筆か何かを手に持ってみてください。

その鉛筆が、本当に「まっすぐ」に進むならば、抵抗になるのは「正面」の水の抵抗だけ、つまり前面投影面積が水の抵抗に最も大きく関わってきますね。

この場合、その前面投影面積を減らせば=手銛を細くすれば、発射エネルギーのロスを抑えることができます。

 

しかし、その鉛筆が「ナナメ下」に進むとしたら?

今度は鉛筆の下側の面積も水の抵抗を受けることになりますよね。

どれだけ手銛の外径が細くても、手銛側面の面積でモロに水の抵抗を受けてちゃ、そりゃ勢いは死んでしまいます。

 

これが実際に手銛の発射においても起きているわけでして、手銛の「太さ」をやたら細くしても、思ったより飛距離が出ないってのはこのへんの要因があるという事です。

 

特に細い手銛ではいくら軽い素材を使おうと、そもそもの体積が少ないので浮力を確保しづらいです。

なので、細い手銛はどうしても水中では沈む方向の力を受けやすく、失速が速い手銛になってしまいがちな所があるんじゃないか、というのが私の立てた仮説です。

 

浮力について

ちょっとここで浮力というものについて、
簡単におさらいをしておきますと。

 

超ざっくりと言えば

浮力=“押しのけた” 水の体積

です。

 

要するに、押しのけた水の体積が仮に1リットル(1000立方センチメートル)ならば、その物体には1kgの浮力が働きます。

 

1リットルの牛乳パックは1kgの浮力を持ってる、ってことですね。

つまり言い方を変えれば、1リットルの牛乳パックは「1kgまでは重さを増やしてもオッケー(浮かぶ)」ってこと。

 

ここで注意したいのが、この浮力に関係してくるのはホント単純にその物体の「体積」と「重量」、それだけなんだよって点です。

 

要するに、たとえばですが

発泡スチロールや木=水に浮く
鉄とかカーボン=水に沈む

という理解は正しくは無い、ってことですね。

 

つまり、素材で浮力が決まるわけではないってこと。(ここ重要)

鉄の船が海に浮かぶように、その物体の体積が大きければ浮力も大きくなり、物体の重量がいかに大きかろうと浮力のほうが大きければ水に浮く、という単純な話です。

 

これ案外勘違いしてる人が多いので、ちょっと覚えておいてください。

※たまに「手銛の浮力を上げるため」として、手銛のシャフト内部に発泡素材を充填したりする方がいるんですけど、それは浮力を上げるどころか、逆にその充填した発泡素材の重さ分だけ浮力が下がります。つまりが無意味です。

 

さてこれを手銛に当てはめて考えてみますと、

細いシャフトにチタン金具などで超軽量な手銛を作ったとしても、体積が少なければ海では「沈む手銛」になります。

逆に1kgを超えるような重量級の手銛でも、体積さえ確保できていれば海では逆に浮力のある手銛になります。

 

 

極太手銛の可能性

と、まあここまで小難しい解説をしてきたわけなんですがw

 

要するにこれが言いたかったんですよ。

「太い手銛にも、それなりの良さやメリットがあるかもよ!」

という点を検証したかったんですね。

 

これはあくまでも理想形なんですが、もし仮に

手銛を水中でパッと離した時に「沈みもせず浮きもしない」状態、つまり中性浮力の状態だったならば。

そこから引き絞ったゴムを放つ時、その発射エネルギーは重力の力を受けて削がれること無く、ほぼ100%のエネルギーが「まっすぐ前に向かって推進する力」になります。(※水深によって海水の密度が異なり、浮力も変わってくる点には注意)

 

ソリッドの手銛では、そもそもの比重が水より重たいカーボンやチタン、ステンレスを無垢で使用している以上は確実に沈むので、その「中性浮力」というのはどうやっても実現不可能です。

 

そのあたり、太い手銛にもまだまだ秘められた可能性があるんじゃないかなーと。

 

スピードを取るか、「伸び」を取るか

このあたりが手銛づくりの非常に難しい部分なんですが、

スピード重視で細手の手銛を作るか、
または伸び重視で太い手銛にするか。

 

ただまあもちろんですが、細い手銛だからといって全部が全部伸びがないというわけではありませんし、それは当然逆も然りで、手銛を太くすればとにかく伸びが良くなる、ってわけでも決してありません。

そこには更にまた、ゴムの力や重量バランスなどの要素も絡んできますからね。

 

いやーほんと、手銛というのはシンプルですが実に奥が深い道具です。

 

 

 

 

 

 

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