手銛(ヤス)用ゴムの選び方。「太さ」と「長さ」を決める基準と注意点
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手銛のゴムについて
手銛はゴムの力を使って飛ばしますから、
「どんなゴムを使うか?」
というのは手銛のパワーを決定づける最大の要因になるわけです。
車で言うエンジンみたいなものですね。
なのでものすごい極端に言えば
「強いゴムを使えば良く飛ぶし威力も出る」
わけで、逆に言うと
「弱いゴムだと何をどうやったって飛ばない」
とも言えます。
ゴムの太さ
そこで重要になってくるのが「ゴムの太さ」です。
もちろん解説するまでもなく「太いゴムの方がパワーが出せる」のは間違いありません。
ただ、そこで考えなければならないのがゴムの伸縮率です。
たとえば、
- 16mmのゴムを2倍伸ばす
- 14mmのゴムを4倍伸ばす
この2つのケース。
厳密に計算したわけじゃないのでアレですが、体感的には後者の14mmの方がパワーも飛びも良かったりします。
要するに
- 太いゴムを伸ばしきらずに使うよりも
- 細いゴムを限界まで伸ばして使う
ほうが良い効果が得られる場合もあるよってことです。
ゴムの“伸び”
そう、手銛のゴムで非常に重要なのがこの「伸び」。
この理由はすごくシンプルで、手銛というのは基本的に
伸ばした(引いた)ゴムの長さ≒飛距離
ですよね?
ニアイコールとしたのは、伸ばしたゴムの長さ以上に飛距離が出る事もあるのと、ゴムを引いた分だけ魚との距離は近くなってしまう点(それはまあ飛距離とは関係ないですが)、他にも手銛の浮力やら色々な要素があるからです。
ただ、ゴムの伸長が手銛の飛距離を決定づける最大の要素って事には変わりありません。
何よりもまず、ゴムが伸びてないと手銛は飛ばないわけです。
ものすごーーーーーく強いゴムをホンのちょっと引いて放つとドカーーーーーンと飛ぶ・・・なんてことは有り得ないですからね。
ゴムは伸ばしてナンボ。
伸びないゴムは、そりゃ陸上で引っ張ったときには「強さ」を感じるかもしれませんが、水中ではその「強さ」は飛距離には寄与しません。
伸びないゴムをムリヤリ頑張って引いて打てば、初速だけは出るかもしれないですけどね。
ゴムの「長さ」
じゃあゴムの長さをどうするか?という話になると思うんですが、それを決めるにはまずこの点を決めないといけません。
「手銛のどこをグリップするか?」という点です。
ここが決まらないと、当然ゴムの長さも決められませんよね。
ちょっとシミュレーションしてみましょう。
例)全長3m、2本継の手銛の場合
- グリップポイント=ジョイント金具を跨いだぐらいの位置、後端から約160cm
- ゴムの太さ=14mm
- ゴムをどのぐらい伸ばす(伸ばせる)か=約3倍
- 160-20(手当の長さ)÷3=約46cm
という感じ。
最初っから46cmにカットしちゃうと失敗できないので、
最初はゴムを長めにしておいて、徐々に短くして調整します。
陸上では3倍も伸ばせなかったゴムが、水中では案外ラクに引けた、なんてことは良くありますからね。
もちろんそうなるとゴムの長さも変わってきますし、グリップポイントも好みで大きく左右されます。
そこは現地でもちょっとずつ調整しながら、最適なセッティングを探っていく必要があります。
で、もうお分かりの通り、グリップポイントもそうですし、何よりゴムをどのぐらい引けるか?というのも個々人で握力や腕力が違うので、そこはもう完全に人それぞれです。
なので、「長さ○mの手銛で、ゴムはどのぐらいの長さ必要ですか?」という質問に答えるのは中々難しかったりします。
それはその個人差の問題もありますし、そもそもの話として
今お持ちの手銛が、使いたいゴムの強さに耐えきれるかどうか
というのもあります。
手銛のシャフト強度
解説の順番的には最初に言っておくべき所だったかもしれませんが、
いくら強いゴムを使いたくても、手銛のシャフト強度が十分でないと強いゴムは使えません。
細くてシナリやすい手銛で、あまりに強いゴムをセットしたりすれば最悪折れます。
折れるまではいかなくても、シナリを軽減するために何周も巻き引きをしなければならなかったりすると、今度はその巻引きのせいでスピードが殺されてしまうなど本末転倒な事になったりもします。
先の車の例えでもそうですが、強力なエンジンを乗せるには強靭なボディが必要なように、手銛も強いゴムを使うにはそれなりの強度を持ったシャフトが必要になってきます。
そのあたりの兼ね合いを踏まえ、じっくり検討した上で使うゴムを決めてみて下さい。
1本引きか2本引きか
これもよく頂く質問ですが、
ゴムを1本引きにするか、2本引きにするか
という問題。
これは結論を言えば、好みで決めてもらって構いません。笑
ゴムの威力は単にゴムの断面積で決まるので、当然ですが1本引きだろうと2本引きだろうと、単純に太いゴムを使えば強くなります。
強いて言えば、シャフトに負担をかけにくいのは2本引きです。
2本引きはシャフトのサイドを這うような形で引っ張りますので、シャフトにかかる曲げの力を相殺してくれるためシナリが出にくいです。
なのでシャフト強度に自信がない場合や、もしくはシャフト強度には問題がなくても、とにかく巻引きをしたくない(でも強いゴムは使いたい)という方などは2本引きにしてみるのも手です。
ウィッシュボンを使うか、ひばり結びにするか
最後に、ゴムと手銛との接続方法について触れておきたいと思います。
手銛とゴム、ゴムと手当を接続する方法には
- ウィッシュボンを使う方法
- ラインで直接結ぶ(例:ひばり結び)
という方法があります。
ウィッシュボン
ひばり結び
これも一長一短ありますが、それぞれのメリット・デメリットをまとめるとこんな感じです。
ウィッシュボン
【メリット】
- 水の抵抗を最小限に出来る
- 見た目がスッキリする
- 「しっかり結べば」すっぽ抜けにくい
【デメリット】
- コストがかかる
- 一回固定すると容易には外せない
- なのでゴムの長さ調節がしにくい
- しっかり結ばないとスッポ抜ける
ひばり結び
【メリット】
- 誰でも簡単に結べる
- ほどくのも容易
- ゴムの長さを現地でも調整できる
- ゴムを解いて保管したりも出来る(ゴムが長持ちする)
- 安価
【デメリット】
- 縛った箇所が出っ張りになるため、水の抵抗が大きい
- ゴムによっては滑って縛れない
- これもしっかり結ばないとスッポ抜ける