手銛用金具についてのQ&A
さて、以前、ファルコンに関して頂いたお問い合わせをまとめた「ファルコンQ&A」をお届けしたのですが、今回はそれの金具バージョンです。
手銛もそうなんですが金具についても様々なスタイル・ご希望が有り、お客様からいただくお問い合わせは私にとっても非常に勉強になります。
そういったみなさまの声も積極的に取り入れながら製作しておりますので、ぜひ今後も気になる点はバシバシお問い合わせを頂ければ幸いです。
というわけで、今回はそんな感じで金具について頂いたお問い合わせの中から、特に件数の多かったものをピックアップして回答していきたいと思います。
Contents
Q. 他メーカ製のジョイント金具と互換性はありますか?
A. いいえ、おそらくですが互換性はありません。
というかどんなジョイント金具でも規格がそれぞれ全く異なるので、どの金具も基本的には互換しないと考えていたほうが良いと思います。
ちなみに、それぞれの金具で印籠部分の長さも異なるので、ネジのピッチが合えば良いという問題でもありません。
ただし、当店の金具でチタン製ジョイント金具、そしてステンレス製ジョイント金具の、同外径のものであれば互換性があります。
つまり、たとえば3本継ぎの手銛を作りたい場合など、ジョイント金具をチタン&ステンレスのハイブリッド使用にすることなども可能です。
重量バランスの調整などに良いかもしれませんね。
Q. ネジのピッチを教えて下さい
A. これも上記の質問に関連したものですね。
当店の外径17.5mmジョイント金具の場合、ネジピッチは「M12×P1.5」です。標準のM12はピッチ1.75なので、若干ですが細目ネジを採用しています。(もっと細いピッチ1.25というのもありますが、それよりは少し太めのピッチになります)
当店がなぜピッチ1.5を採用したのかと言うと、まず、あまりに細かいネジピッチだと、今度はネジに砂などが噛んだ際に傷みやすいというのがあります。
そしてネジが細かくなればなるほど、「真っ直ぐな状態」でネジを入れて行かないとカジってしまいやすいというのも理由の一つです。
ただでさえ手銛は長い2本のシャフトを手で保持して繋ぎますので、特にフィールドではその「真っ直ぐにネジを入れる」というのが案外難しかったりします。(海に入ってから手銛を接続しなければいけない場所だったり、波に揺られたりetc)
そういった面での耐久性だったり、フィールドでの扱いやすさを取って、当店のジョイント金具(外径17.5mm)はピッチ1.5で設計しました。
あ、あと当店の外径16mm&14mmの極細ジョイントですが、あれらはネジが「M10×P1.25」です。これもやっぱり通常のピッチよりワンサイズ細くしてます。
Q. 空気抜き用の穴って必要ですか?
A. まず、ソリッドシャフトでの手銛製作においてはこの穴は必須です。
この穴が無いと、金具にシャフトを挿入する際に空気の逃げ場が無いので、金具がムニューっと跳ね返されてきてしまいます。
そして何もそれはソリッドに限ったことではなく、パイプシャフトでもシャフトの「向こう側」が塞がれてしまっていれば結局空気の逃げ道が無いので、当然の事ながら同じ現象(金具が押し返されてくる)が起きます。
たとえば、まず最初にジョイント金具を接着する際、このジョイント接着時には特に問題は起きません。シャフトの「向こう側」はツーツーなので空気が通るからですね。
しかしその後で先端or後端金具を接着する際には、今度はシャフトの一方がジョイント金具で塞がれちゃっているため、当然空気の逃げ道がありませんから金具は押し戻されてきてしまいます。
なので、この場合は先端or後端金具にエア抜き用の穴が開いてた方が良い、という事になります。
ちなみに、当店のジョイント金具でも外径17.5mm(内径15mm)の標準タイプの金具にはエア抜き穴をあけてません。
その理由としては、この太さのソリッドシャフトはさすがに使わないだろうというのが一点。そしてもう一点は先ほども説明した通り、パイプシャフトにおいてはジョイント金具を最初に接着してしまえば、特にこの穴は必要無いからです。
もしこの穴は特に必要ない、接着剤がハミ出てくるので処理が面倒、という場合は、単純に穴をマスキングテープなどで塞いでしまえばOKです。
Q. 使おうと思ってるシャフトの外径が15mmなのですが、ジョイント金具の内径も同寸で良いでしょうか?
A. 基本的には同寸でOKです。
が、もし芯出しの精度を最高レベルに高めようと思えば、金具の内径はシャフトの外径よりも若干太くすべきです。
例としては、シャフトの径が15mmならば、金具の内径は15.1mmか15.2mmで。(もちろん金具の内径を広げなくても、シャフトの方を削って細くするという手もあります)
これは何故かと言うと、金具とシャフトがピッタリのキッチキチだと芯出しもへったくれも無いと言いますか、それだと問答無用でそのシャフトの削り面の精度で全てが決まってしまうからです。
つまり「塩梅」が出来ません。
シャフトの削り面(金具との接着面)で完璧な平行が出ていることは稀なので、もしもピシっと真っ直ぐな手銛を作りたい場合は、その塩梅のための余裕が必要です。
ただ、そこまで精度は求めてないよ、塩梅とか芯出しとか面倒だし・・・という方は、シャフトと金具をギッチリ同寸にするのも有りです。
その場合、接着に関してはもう単純にエポキシ塗ったくって金具をグリグリと挿入し、あとは出来る限り真っ直ぐに立てかけて放置、という感じの作業になりますね。
まあ接着、芯出しに関してはコレはもうブログ1記事では到底語り尽くせないので、金具ご購入の際にでもコッソリ聞いて下さい笑
Q. チタンとステンレスで迷ってます。おすすめの構成を教えて下さい
A. これは手銛の種類、シャフトによって全く変わってきますからね・・・
基準としては、やっぱり手銛全体での重量バランスだと思います。
たとえばですが、非常に長い押し棒を使う方の場合でしたら必然的に前が重たくなりますから、後端金具&ジョイント金具はステンレスにし、先端金具はチタンにする、といった若干リアヘビーなセッティングが合うかもしれません。
とりあえず、私がファルコンの試作品でフィールドテストを重ねた感覚で言うと、前(先端金具)が重いと失速が速く、伸びに欠ける事が多い気がします。
そういった場合、先端金具をチタンにして軽くしてやれば伸びや初速が改善される事も多かったですが、ただその代わりに若干貫通力が犠牲になる感もあり、そのあたりをどう捉えるかは完全にそれぞれの好みかと思います。
個人的には、とにかく軽くてバランスの良い手銛が好きなので、貫通力はゴムのパワーで何とかするという方向で手銛のセッティングをしています。
では良いバランスとはなんぞや、と言うと、ゴムをMAX引きにした時に保持するポイント、「そこ」が重心になってる手銛は飛ぶ手銛です。(もちろん銛先などフル装備の状態での重心です)
あとは水中でぽいっと手銛を離した時に、全体がほぼ同じようにフワーッと沈む手銛もバランスが取れている手銛だと思います。
まあホントにこれは好みがあるので一概には言えないですけどね。
このあたりも迷ったら御相談下さい。